皮膚の疾患

子どもの皮膚科疾患について

小児皮膚疾患子どもの皮膚は弱く、虫刺されによって大きく腫れることもあります。また、あせもやおむつかぶれなどもよく起こります。かゆみや痛みは大きなストレスです。掻きむしって悪化させることも多いため、皮膚にトラブルがありましたら早めに受診してください。

あせも(汗疹)

赤いプチプチとした湿疹ができて、かゆみや軽い痛みをともないます。汗を分泌するエクリン腺が詰まって中に汗がたまり、炎症を起こして赤い丘疹、紅色汗疹、水晶様汗疹などを生じさせます。汗をかいたら頻繁に着替えさせ、毎日入浴してよく泡立てた石鹸で優しく洗ってきれいにすすぐこと心がけてください。また、寒くないかと着せすぎてあせもができることもありますので、ご注意ください。
保湿剤で改善できることも多いですが、炎症が強い場合にはステロイド外用薬により効果的に炎症を鎮めます。

乳児湿疹

乳児の皮膚は薄く、汗腺の数も少ないのですが、大人の10倍も汗をかくと言われています。乳児は、新生児ざ瘡、乳児脂漏性皮膚炎(乳児脂漏性湿疹)、皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹、よだれやおむつによるかぶれ(接触性皮膚炎)などを生じやすくなっています。乳児湿疹はこうした赤ちゃんの皮膚トラブルの総称です。

新生児ざ瘡

赤ちゃんにできる「にきび」です。生後2週頃にできて、数か月で自然に解消します。常在菌の関与も指摘されていますが、特に治療の必要がありません。毎日の入浴時によく泡立てた石鹸で優しく洗い、しっかりすすいであげましょう。新生児ざ瘡のほとんどは、スキンケアを2週間程度続けることで改善に向かいます。

乳児脂漏性皮膚炎(乳児脂漏性湿疹)

痂皮(乳痂)と呼ばれる黄色いかさぶたが頭部、顔、脇の下、首周辺などにできます。魚のウロコのように見える場合もあります。皮膚に常在する真菌(カビ)のマラセチアの関与により悪化するとされています。
スキンケアは入浴前のベビーオイルやワセリン塗布で痂皮を軟らかくしておいて、よく泡立てた石鹸で優しく洗い、しっかりすすぎます。必要がある場合には軟膏処方を行います。2か月程度で改善することが多いのですが、再発しやすい傾向があります。再発して悪化した場合には早めに受診してください

皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹

皮脂分泌不足により、皮膚が乾燥し、白っぽく粉をふきます。乾燥のみの場合は皮脂欠乏症、乾燥に湿疹がともなう場合は皮脂欠乏性湿疹です。生後しばらくは赤ちゃんの皮脂分泌が活発ですが、生後半年後になると急激に皮脂分泌量が減少します。部屋の湿度を保ち、保湿剤による治療を行うことで改善できます。なお、かゆみがあり、保湿を心がけて2か月以上経過しても湿疹が治らない場合には他の疾患が疑われますので受診してください。

おむつかぶれ

おむつかぶれ接触性皮膚炎で、おむつで覆われる部分にただれや赤みを生じます。皮膚に残った尿や便によるかぶれです。こまめなおむつ替え、洗浄、毎日の入浴やスキンケアで改善できることもありますが、拭きすぎてしまうのも逆効果です。炎症が強い場合にはステロイド含有軟膏で短期間に炎症を解消させることが有効です。ただし、カンジダ皮膚炎が原因になっている場合には、抗真菌薬による治療が必要です。おむつかぶれがなかなかよくならない場合には早めにご相談ください。

カンジダ皮膚炎

皮膚の赤みやびらんなどの症状はおむつかぶれに似ていますが、真菌(カビ)の1種によって炎症を起こしています。抗真菌薬による治療が必要です。なかなか治らないおむつかぶれや、おむつに触れない場所にも患部がある場合には、早めに受診してください。

とびひ(伝染性膿痂疹)

ケガや虫刺され、湿疹、あせもなどを掻いてしまうと細菌による二次感染を起こし、とびひを発症します。水疱やびらん、かさぶたが主な症状です。患部を掻くと全身に広がってしまい、悪化すると入院による治療が必要になることもあります。爪を切る、スキンケア、抗生剤の軟膏や内服などによる治療を行います。最近、多剤耐性黄色ブドウ球菌が増えてきていますので、血液検査や培養検査を行うこともあります。

アトピー性皮膚炎

かゆみのある湿疹が生じ、治っては再発を繰り返します。1歳未満は2か月以上、1歳以上は6か月以上、こうした状態が続いているとアトピー性皮膚炎と診断されます。症状の改善にはステロイド外用薬や免疫抑制外用薬などが有効ですが、状態がよくなったら保湿をしっかり行って皮膚のバリア機能を向上させて炎症の再発を防ぐことが重要です。また、細菌、ダニ・カビ・ほこり、ペット、汗、ストレスなどが発症や悪化に関与しているため、こうした要因をできるだけ排除することも心がけてください。

蕁麻疹(じんましん)

強いかゆみをともなう赤い発疹です。掻くと広がってしまいますが、ほとんどの場合は数十分から数時間で改善します。原因のよくわからない特発性蕁麻疹、特定の刺激で誘発される刺激誘発型蕁麻疹、血管性浮腫、蕁麻疹関連疾患などがあります。原因のよくわからない特発性蕁麻疹は、急性と慢性に分けられます。
一部だけに起こっている場合には、冷やすことで改善できればそれほど心配ありません。冷やしても改善しない、強いかゆみがある、大きく広がっている場合には受診が必要です。
また、慢性の蕁麻疹は長く症状を繰り返すことがありますが、不快なかゆみなどの症状を適切な治療で抑えることができます。

水いぼ(伝染性軟属腫)

ブチブチした1~5mm大の丘疹ができ、かゆみを起こすこともあります。ウイルス感染によって生じ、掻いて白っぽい内容物が出てしまうと丘疹が広がります。皮膚のバリア機能が弱いと症状が悪化しやすく、直接接触することで感染してしまうため注意が必要です。発症後、半年から5年程度で自然治癒するとされていますが、ピンセットによる摘除、液体窒素療法、漢方薬のヨクイニンなどによる治療も可能です。液体窒素療法は痛みが起こりにくく、痕が残ることも少なくなっています。数が増える前に治療を受けることが重要です。

乳児血管腫・苺状血管腫

未熟な毛細血管の増殖によって生じる良性腫瘍で、イチゴのように赤い発疹を生じます。発症は生後1~4週頃で、5~7歳頃には自然に小さくなることが多くなっています。痕が残ることがありますので、身体機能や整容面への問題が残る可能性がある場合には、治療を検討します。β遮断薬内服、レーザー治療、手術などから適した治療を選択します。

にきび(尋常性ざ瘡/じんじょうせいざそう)

にきびは、古い角質が毛穴を塞ぎ、毛穴の中でアクネ菌が増殖して炎症を起こしている状態です。毛穴が塞がって中に皮脂がたまっている白にきび、炎症している赤にきび、膿がある黄にきびに分けられ、にきび痕を残さないためには適切な治療が効果的です。抗菌外用薬、皮脂分泌のコントロール、ピーリングなどによる治療を行って、スキンケアでしっかり保湿します。3か月程度治療を続けることで改善を実感できるようになることが多いのですが、嚢腫がある場合や抗菌薬の内服による効果が現れない場合には、連携している高度な治療が可能な皮膚科をご紹介しています。

虫刺され・虫による皮膚炎

塗り薬原因となった虫によって症状や治療法が異なります。蚊に刺された場合は、腫れや赤み、水疱、強いかゆみが主な症状です。蚊による強いかゆみにはステロイド外用薬が有効です。炎症が強い場合には、ヒスタミン薬やステロイドの内服を検討します。蜂やムカデは強い痛みをともなうことがあり、アナフィラキシーショックを起こして命に危険が及ぶこともあります。呼吸困難、むくみ、嘔吐などアナフィラキシーショックを起こした場合にはすぐにアドレナリンを投与する必要がありますので、救急受診してください。戸外でマダニに刺された場合には、無理に取ろうとすると一部が残って化膿することがありますので、受診して除去してもらいましょう。また、まれですがマダニに刺されて深刻な感染症になるケースが報告されています。刺されてから数週間は発熱などの体調変化がないか注意してください。

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